解雇の種類について

02_退職

こんにちは、みのりです。

会社を辞めるには色々な辞め方がありますが、解雇は会社から雇用契約を終了するというものです。

ドラマやマンガで「クビだ!」というシーンを見かけたことがあるかもしれません。
ですが、解雇は労働者の生活に深刻な影響を及ぼすため、現実はそう簡単にできるものではないのです。

今回は、解雇について書いてみたいと思います。

解雇の種類について

解雇には以下の3種類があります。

  • 普通解雇
  • 懲戒解雇
  • 整理解雇

どれも会社から雇用契約を終了することですが、それぞれで意味や手続きが変わってきます。

普通解雇とは

普通解雇は、能力不足や協調性の欠如、勤怠不良など従業員本人に問題があった場合に行われる解雇です。
ただ、これらの理由があればすぐに解雇できるものではありません。
解雇をする時は就業規則に解雇するケースを明記しておくことが必要ですし、本人に対しても、面談等で指導を重ねる、始末書を書いて提出してもらう、本人の適性に合うと思われる別の職場に異動して勤務させてみるなど、本人の能力を活かす努力が必要になります。

懲戒解雇とは

懲戒解雇とは、従業員本人が会社の秩序を著しく乱したことから懲罰として解雇することを言います。
「会社の秩序を著しく乱した」とありますが、例えば横領などの犯罪行為や会社への著しい損害を与える行為など就業規則で懲戒解雇として列挙したケースにのみ適用されます。

感覚的に「秩序を乱した」というのは通用しないです

懲戒解雇の手続きの流れ

懲戒解雇をする場合は、以下の手続きをとっていきます。
(事実確認等は終わったものとして。)

  1. 社内の賞罰委員会で就業規則に則って懲戒解雇を決定する
  2. 労基署で解雇予告除外認定の申請をする
  3. 労基署の申請が通ったら本人に懲戒解雇を告げる
  4. 退職手続きをとる

なお、多くの場合は懲戒解雇を告げるまでは出勤停止としています。
その間は、会社都合で自宅待機させているので出勤停止期間は休業手当を支払うことになります。

退職手続きでいうと、懲戒解雇は退職金を支給しない場合があります。
離職票についても「重責解雇(本人の責めに帰す解雇)」にすることが多いです。
(普通解雇の場合は「その他の解雇」としている事が多い。)

懲戒解雇は頻繁に起こるものではないので、実務面で何が必要になるのか段取りを整理しておくといいです。

案件により諭旨解雇とする場合もある

懲戒解雇に該当する内容であっても、情状酌量の余地がある場合もあります。
そのような時は諭旨解雇(諭旨退職)とすることがあります。

諭旨解雇(諭旨退職)とは、懲戒解雇に該当する旨を伝えた上で、本人から退職を申し出てもらい自己都合退職という扱いにすることです。

自己都合退職の扱いをすることで退職金を支給することができますし、本人にとっても職歴(賞罰)への影響がなくなります。

離職票の記載も「労働者の一身上の都合」にチェックし、具体的な内容を記載する欄に「自己都合(諭旨退職)」と記載します。

整理解雇とは

整理解雇とは、会社が業績不振に陥り、事業を継続していくために人員を整理する解雇のことで、普通解雇の扱いの一つとなります。

整理解雇の4要素

「人員整理」なので整理解雇の実施は合理的であることが求められますが、過去の労働判例から以下の4要素に該当するかがポイントとなってきます。

  • 人員整理の必要性
  • 解雇回避の努力
  • 整理解雇対象者選定の合理性
  • 整理手続きの妥当性

以前は「4要件」としてすべて当てはまらないといけないとされてきましたが、最近では「4要素」として一部該当していなくても総合的に見て判断されるようになってきました。

早期退職制度にすることもある

整理解雇を行わずに、例えば40歳以上と対象層を決め、早期退職制度という本人からの手上げ制をとるケースもあります。
この場合、退職金を上乗せしたり、再就職会社を利用できるようにするなど、従業員本人の生活への影響を最小限になるように配慮します。

ハローワークに届け出るもの

整理解雇は、1人、2人の話ではなく、大量に退職者が出るため、求職者の市場にも影響を及ぼします。
そのため、ハローワーク(専門援助第二部門)へ「再就職援助計画」と「大量雇用変動届」を提出します。
いきなり提出するよりも、整理解雇をする可能性が出てきた時点で一度、ハローワークに相談しにいくと良いです。

参考
厚生労働省:「再就職援助計画」と「大量雇用変動届」

解雇にまつわる労働法令

解雇に関する労働法令の条文も参考で掲載します。

労働契約法

労働契約法 第16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

これまでは、「解雇権濫用の法理」という判例から適用される考えでしたが、労働契約法ができた時に条文となりました。

「客観的に合理的なものか」

「社会通念上相当なものか」

が判断基準になるよ

労働基準法

労働基準法 第19条

使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

労働基準法 第20条

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

労働基準法 第21条

前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
 日日雇い入れられる者
 二箇月以内の期間を定めて使用される者
 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
 試の使用期間中の者

解雇は就業規則の則って行われるものですが、労働基準法では労働者の雇用を確保するために解雇を制限する規定が設けられています。

おわりに

解雇は労働者本人の生活に重大な影響を及ぼすものなので、慎重にしないといけないです。

例えば、能力に問題があると言われる従業員も、よくよく話を聞くとそれまで全く注意や指導をしてこなかったケースが少なくありません。
本人にしてみれば、突然、言われて何が悪いか分かりませんし、感情面でもこじれてしまいます。

会社の使命の一つは雇用を確保することでもありますが、1on1 など日常の指導やコミュニケーションをしっかりとっていきたいものです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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