こんにちは、みのりです。
在宅勤務、テレワーク、遠隔地勤務制度などリモートで仕事ができる環境が整ってくると、これまでの「職場に出社して働く」という働き方とは違う働き方を導入する会社が増えてきました。
一方で、労働基準法や労働安全衛生法は「事業所」という場所をベースにルールが定められています。
出社を前提としない働き方を推進した場合に、適用事業所の取扱いはどうなるのか素朴な疑問を持ったので、調べてみました。
労働関係法令で人数が関係するもの
労働基準法や労働安全衛生法では、事業所ごとに常時雇用する人数によって、対応しないといけないことがあります。
主なものは以下のとおりです。
労働基準法 | ・36協定の締結・届出(1人以上) ・就業規則の届出(10人以上) |
労働安全衛生法 | ・安全衛生推進者ほか(10人以上) ・安全管理者、衛生管理者、産業医(50人以上) ※業種により規定あり ・安全委員会ほか(50人以上) |
ポイントは、会社ごとではなく、事業所ごとということ。

んー…
じゃぁ、テレワークしてる場所も事務所にしなくちゃいけないの???
そういった疑問があると思いますが、通達に「事業所」の考え方が示されています。
事業所の考え方
事業所の考え方は、労働安全衛生法の施行時に「労働安全衛生法の施行について」という行政通達(昭和四十七年九月十八日 基発九十一号)で示されました。
労働安全衛生法の施行について 第二 この法律の基本的事項
三 事業場の範囲
この法律は、事業場を単位として、その業種、規模等に応じて、安全衛生管理体制、工事計画の届出等の規定を適用することにしており、この法律による事業場の適用単位の考え方は、労働基準法における考え方と同一である。
すなわち、ここで事業場とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体をいう。
したがつて、一の事業場であるか否かは主として場所的観念によつて決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とするものである。
しかし、同一場所にあつても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることによつてこの法律がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえるものとする。たとえば、工場内の診療所、自動車販売会社に附属する自動車整備工場、学校に附置された給食場等はこれに該当する。
また、場所的に分散しているものであつても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連、事務能力等を勘案して一の事業場という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業場として取り扱うものとすること。

テレワーク時の勤務場所(自宅等)は独立性がないものと判断できそうだよ
この行政通達をもとにすると「直近上位の機構と一括」することができそうです。
直近上位の機構をどうするか
どこを「直近上位の機構」とするかについては、36協定の届出や労災が起きた時の報告が会社所在地を管轄している労働基準監督署に揃えておくと良さそうです 。

労災保険料を本社一括にしていても、36協定や労災の報告先は職場管轄の労働基準監督署になるので要注意です。
おわりに
リモートワークは「場所」に縛られずに働けるので従業員にとってメリットがありますが、現行の法律が場所的観念でルールが決められているため、人事担当としてはそことの整合や理屈づけが実務上発生することになります。
36協定や労災発生、また産業医との面談など周辺の運用も念頭に入れながら、整理していく必要がありそうです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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