労災が起きたときは何をすればいい?

07_安全衛生・健康管理

こんにちは、みのりです。

労災は起きてほしくないですが、実際に起きてしまった時には冷静に対処したいものです。
今回は、労災が起きた時の対応について書いてみました。

労災とは

労災とは、仕事や通勤を原因としたケガ・病気、障がい、死亡のことをいいます。
これらの治療などにかかる費用は「労働者災害補償保険」から補償されるので「労災」と呼ばれています。

労災保険では、仕事が理由のものを業務災害、通勤が理由のものを通勤災害と分けて考えているよ

労災保険(労働者災害補償保険制度)は、1947年にできました。
はじめは労働基準法の事業主の無過失賠償責任に応じるものとして業務災害だけを対象としていましたが、1973年に通勤災害も保護の対象として拡大されました。

そのため、通勤災害については業務災害と違い、待期期間中の休業補償、死傷病報告書の提出義務、解雇制限などの法的な拘束が発生しないことになります。

労災が認められるには2つの要件が必要

事故などでケガをした時や心身の病気になった時に、それが労災かどうかを判断するのは労働基準監督署。
会社ではないところがポイントです。

労働基準監督署は

  • 業務起因性
  • 業務遂行性

の両方がある時に労災と判断するよ

業務起因性とは

業務起因性とは、ケガ・病気、障がい、死亡が業務と因果関係があるということです。
どんな仕事でも事故や病気を引き起こすリスクがあります。
業務起因性は、そのリスクが現実に引き起こされたというものになります。

ケガの場合は分かりやすいですが、過労死や心疾患が起きた場合は業務起因性を立証しにくいのでよく問題になります。

業務遂行性とは

業務遂行性とは、仕事をしている時に労災が起きたというものです。
職場での勤務中だけでなく、出張中や参加の強制度合いの高い会社行事の最中に起きたケガや死亡についても業務遂行性が認められる場合があります。

労災が起きたときの対応について

職場に事故があり従業員がケガをした時、やることは以下の流れになります。

本人がやること

まずは治療が優先です。

業務上の事故だった場合、労災病院か労災指定病院で治療を受けます。
労災病院や労災指定病院で治療をうけることは労災の「療養給付」(現物給付)に該当するので窓口での支払いは発生しません。

では、労災病院や労災指定病院で治療を受けなかった場合はどうなるのかというと、治療を受けた時はいったん全額負担をして、後日、労働基準監督署に還付請求をします。

うっかり健康保険証を出さないように!

健康保険は「業務外の」ケガや病気に対して医療の保障を受けるものなので、間違えて健康保険証を出すと、健保にお金を戻す手続きをしなくてはいけません。

参考
独立行政法人労働者健康安全機構:労災病院全国地図
厚生労働省:労災保険指定医療機関検索

手続き書類について

労災病院や労災指定病院で治療を受けると本人負担はありませんが、後日、請求手続きは必要になります。
提出先も変わるので要注意です。

労災病院や
労災指定病院で
治療を受けた時
病院
「療養給付たる療養の給付請求書」を出す
・業務災害の場合は様式第5号
・通勤災害の場合は様式16号の3
労災病院や
労災指定病院以外
治療を受けた時
労働基準監督署
「療養給付たる療養の費用請求書」を出す
・業務災害の場合は様式第7号
・通勤災害の場合は様式16号の5
治療のために
休業している時
労働基準監督署
「休業(補償)給付給付支給請求書」を出す
・業務災害の場合は様式第8号
・通勤災害の場合は様式16号の6

通勤災害の時は様式第16号(別紙)「通勤災害に関する事項」も提出します。
また、費用請求の時に病院以外に薬局やはり・きゅう、訪問看護などの治療を受けると提出する様式が変わりますので要注意です。

費用請求したら約1か月ほどでお金が振り込まれるよ
(確認などスムーズに処理された場合)

参考
厚生労働省:労災保険給付関係請求書等ダウンロード

会社がやること

現場から安全衛生部門(労災対応部門)にエスカレーションがきたら、事故発生の原因や再発防止対策を検討します。

この検討には安全衛生委員会など会社横断の組織で行うのが良いです。
また、他の職場で起きないように、全社に注意を喚起するものオススメです。

事故の内容によっては労働基準監督署から再発防止に関する書類の提出を求められるよ

参考
厚生労働省:職場のあんぜんサイト

手続き書類について

以下の条件に該当する場合は、労働基準監督署に「労働者死傷病報告」書類を提出します。

  • 労働者が労働災害により、負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
  • 労働者が就業中に負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
  • 労働者が事業場内又はその附属建設物内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
  • 労働者が事業の附属寄宿舎内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき

休業日数が4日以上か4日未満かで提出期限が変わるよ

休業が
4日以上
遅滞なく
休業が
4日未満
 1~3月分 4月末日までに報告
 4~6月分 7月末日までに報告
 7~9月分 10月末日までに報告
10~12月分 1月末日までに報告

休業日数が見込みと変わることがあります。
例えば、休業なしと見込んでいたが休業になったとか、休業が3日と見込んでいたら4日を超えてしまったなど

「労災かくし」はもってのほかですが、忙しくて報告しそびれたというのも書類送検されてしまうので、提出期限は相当意識していきたいところです。

参考
労働新聞社:忙しさ理由に労働者死傷病報告怠る(2021.04.12)
厚生労働省:労災保険における請求書等に係る押印等の見直しの留意点について

おわりに

労災は建設や製造業など特定の業種で起きるもののように思いますが、実は転倒や腰痛などサービス業でも数多く発生しています。

従業員の人命を守るのが第一なので、事故があった時は冷静に対処できるようにしておきたいものです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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