外国人労働者を雇用する時の留意点

01_採用・入社

こんにちは、みのりです。

厚生労働省が出している「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)によると、日本で働く外国籍の人は年々増加しており、直近では170万人となりました。

外国籍の人を雇用する時は言語や慣習などのコミュニケーションの課題もありますが、在留資格によって労働に制限があるものもあります。

今回は外国人労働者の雇用についてまとめてみました。

採用時は在留資格を確認

外国籍の人が応募してきた時、最初にやらなくてはいけないことがあります。

それは

その人の在留資格と在留期限を確認することだよ

外国人労働者については、出入国管理法と難民認定法で就労できる資格が決められています。
(労働法に関連する法律ではないので見落としてしまう恐れがあるので要注意です。)

在留資格や在留期限を確認する時は在留カードを見せてもらいます。

出入国在留管理庁HPより

この在留カードは、3か月を超える期間、日本に在留する外国籍の人に交付されるもので、氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地,在留資格,在留期間,就労の可否などが記載されています。

在留者には常に携帯するように求められていますが、面談する際には必ず持参してもらうようフォローするといいでしょう。

在留カード不携帯はご本人に20万円の罰金となってしまうよ

在留資格とは

日本に在留する外国籍の人は、働く人、学生、日本人の配偶者、日系人の方など事情はさまざま。
これらの事情に応じて28種類の在留資格が定められています。

就労が認められる
在留資格
※その資格について
 活動が可能
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、
高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、
医療、研究、教育、技術・人文知識・
国際業務、企業内転勤、介護、興業、
技能、技能実習
身分・地位に基づく
在留資格
永住者、日本人の配偶者等、
永住者の配偶者等、定住者
就労の可否は
指定される活動
による在留資格
特定活動
就労が認められない
在留資格
文化活動、短期滞在、留学、研修、
家族滞在

在留資格の内容や更新回数によって、在留期間は3月~5年となるよ

資格外活動許可を取れば働ける資格もある

就労が制限された在留資格、就労が認められない在留資格であっても、「資格外活動許可」を得ることによって1週28時間まで収入を得る活動をすることができます。

包括許可の例

申請して認められればアルバイトなど包括的に働くことが認められます。

  • 在留資格が「留学」、「家族滞在」、「特定活動」の人
  • 在留資格が「教育」、「技術・人文知識・国際業務」又は「技能(スポーツインストラクターに限る)」のうち、地方公共団体等との雇用契約により活動する人

個別許可の例

認められている在留資格とは違う在留資格で就労する場合に個別に判断し、限定して働くことが認められます。

  • 留学生が就業体験を目的とするインターンシップに従事するとして週28時間を超える資格外活動に従事する場合
  • 大学で就労する在留資格が「教授」の人が民間企業の語学講師として就労する場合
    (「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当となる)
  • 客観的に稼働時間を確認することが困難である活動に従事する場合

入社後の雇用管理で気をつけること

外国人労働者の雇用管理は採用時だけでなく、入社前や入社後も継続的にフォローが必要となります。

適切な在留資格に保つ

例えば、「留学生」を新卒採用で採用した場合は入社までに就労が認められる在留資格への手続き変更を。
「家族滞在」の人をパートで採用する場合は、資格外許可証の確認を。
自社で働いてもらうために適切な在留資格に保つ管理が必要です。

書類の期限切れを起こさない

外国人労働者の雇用管理で大変なのは期限の管理。
本来は本人が管理するものですが、期限切れを起こしたまま雇用しないことはさることながら、書類の更新手続きを取るための勤務配慮が必要になってきます。

期限管理は

  • 在留カード
  • 資格外活動許可証
  • パスポート

があるよ

入国管理法や難民認定法では在留カードや資格外活動許可証の期限管理が求められますが、実務的にはパスポートの期限管理も重要です。

また、各書類の最新版のコピーを取り、書類やPDFデータなどで管理をしておくといいです。
かつて不法就労で従業員が逮捕されたことがありましたが、各書類のコピーを取っていたおかげで会社は罪に問われずに済みました。

資格外活動者の勤務時間を把握する

資格外活動は1週28時間まで。
パート・アルバイトで就労する場合、シフトを組むことがあると思いますが、残業が発生してしまうと28時間を超えてしまうこともあります。

超えてからでは手遅れになるので、早い段階から実績を見て必要に応じて調整するようにしましょう。

ハローワークに雇用状況を報告する

外国人労働者(特別永住者及び在留資格「外交」・「公用」の者を除く)を雇用した時、または退職した時に、外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間、在留カード番号等についハローワークへ届け出ることが義務付けられています。

雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険被保険者資格創立届

に記入する欄があるよ

なお、この届出を怠ったり、虚偽の届出をすると30万円以下の罰金となるので要注意です。

参考
厚生労働省:「外国人雇用状況の届出」は、全ての事業主の義務であり、外国人の雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です!

日本語が苦手な人へのフォローをする

ここは日本なので、規程やマニュアル、システム、ミーティングなど日本語でのコミュニケーションが基本となりますが、働く人が必ずしも日本語が堪能とは限りません。

ルール、オペレーション、安全衛生などは、理解できているか確認が必要です。
また、英語などのフォローやイラスト・ピクトグラムの使用など、理解しやすい環境を工夫します。

入社してくる人が困った時に相談できるメンターをつけるのもオススメだよ

不法就労助長罪とは

日常のコミュニケーションやチームワークづくりも大事ですが、外国人雇用においては不法就労を起こさない事が重要になってきます。

不法就労をさせてしまうと、会社も3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられてしまうよ

  • 在留期限が切れている
  • 就労できない在留資格で働かせている
  • 資格外活動許可証なく働かせている
  • 制限以上に働かせてしまう

などを起こさないように気をつけましょう。

面接時に外国人とわからないとき

外国人労働者の中には日本語名を通称としている人もいます。
言葉のイントネーションなども自然だと、採用の段階では分からないこともあります。

厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」(p.18)に以下のQ&Aがありますのでご参照ください。

Q:雇入れの際、氏名や言語などから外国人であるとは判断できず、在留資格などの確認・届け出をしなかった場合、どうなりますか。

A:在留資格などの確認は、通常の注意力をもって、雇い入れようとする人が外国人であると判断できる場合に行ってください。氏名や言語によって、その人が外国人であると判断できなかったケースであれば、確認・届け出をしなかったからといって、法違反を問われることにはなりません。

入社手続き書類をチェックリスト化し、そこに外国人雇用に関する書類もリストアップしておくのもいいよ

おわりに

今や外国籍の人と一緒に働くのは当たり前になってきています。

一方で「令和2年入管法違反事件報道発表資料」を見ると、不法就労事実が認められた人は入管法違反者全体の約70%を占めているようです。

不法就労は会社にとっても働く人にとっても痛手となるので、「うっかりミス」は避けたいところですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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