労働基準法と労働契約法の関係を理解しておこう

10_知っておきたいルール

こんにちは、みのりです。

私が入社した20年前…
その頃は労働基準法しかなかったので、覚える法律もシンプルでした。

しかし、今は、労働契約法やパートタイム・有期契約労働法などができ、雇用契約に関連するルールがいっぱい。
その中でも労働契約法は労働基準法との違いが分かりにくいと聞きます。

今回は、労働基準法と労働契約法の関係や違いについて整理してみました。

労働基準法と労働契約法の違いは?

労働基準法が制定されたのは1947年。
日本国憲法第27条第2項に基づいて、労働者が持つ生存権の保障を目的に制定されました。

一方、労働契約法が制定されたのは2007年。
労使間で締結される労働契約の基本原則をルール化されました。

労働契約法は労働基準法をふまえつつ、民事的なルールをまとめたものだよ

労働契約法ができた背景

厚生労働省「労働契約法のあらまし」によると、就業形態の多様化が進み、雇用に関する個別労働関係紛争が増加したことが背景にありました。

独立行政法人労働政策研究・研修機構 民事上の個別労働紛争相談件数の推移(相談内容別)2002~2019年度

たしかに2000年代前半から個別労働紛争が増えてるね

労働契約法ができるまでは、個別労働紛争があった場合、労働契約の部分については民法や過去の判例などを元に判断されてきました。

しかし、それでは

  • 予測可能性が高いと言えない
    (判決の結果が予測しにくい)
  • 判例が労使ともに十分に知られていない

といった課題がありました。

これらを解消するために、労働契約の基本的な考え方や共通する原則を一つの体系としてまとめる必要が生じ、労働契約法の制定に至りました。

労働基準法と労働契約法の定義で変わるところ

労働契約法を分かりにくくする理由は、労働基準法をふまえているのに定義や範囲が労働基準法と変わる部分があるところだと思います。

押さえておくところは3点

  • 使用者
  • 労働者
  • 罰則

となります。

使用者について

労働基準法事業主又は事業の経営担当者その他
その事業の労働者に関する事項について、
事業主のために行為をするすべての者
・事業主や法人の代表者
・取締役などの経営担当者
・その事業の労働者に関する事項について
 事業主のために行為をするすべての者
 (人事部長、総務課長など)
労働契約法その使用する労働者に対して賃金を支払う者
・個人企業は企業主個人のこと
・法人は法人そのもののこと

労働契約法は労働基準法の「事業主」(法人そのもの)に相当します。

労働基準法の方が役員や人事部長など(使用者)対象となる範囲が広いよ

労働者について

労働基準法職業の種類を問わず、事業に使用される
もので賃金を支払われる者

使用者の指揮命令を受けて労働力を提供し、
その労働の対償として賃金を支払われる者
・法人の重役で業務執行権又は代表権を
 持たず、工場長、部長の職にあって
 賃金を受ける者
・労働組合の専従職員
・新聞配達員
労働契約法使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者

労働契約法は労働基準法の労働者と同様の考え方になりますが、労働契約法の方が広く捉えられています。

労働契約法の方は、直接の雇用者だけでなく、請負や委任で労務の提供を受ける人についても対象としているよ

罰則について

労働基準法は行政指導や罰則があり、労働契約法には罰則がありません。
なお、労使トラブルがあった場合、解決は労働審判などを利用することになります。

おわりに

労働契約の締結は労働契約法

契約する労働条件は労働基準法
と考えると分かりやすいよ

労働契約法は過去の判例等がルール化されたものなので、とても密接な関係にある法律です。

就業規則や解雇など項目が同じでも、ルールの話、手続きの話と言及しているところが違うので、実務的には両方確認していくことが必要となってきます。

常に両方確認するようにして、早く慣れていけるといいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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