雇用契約を締結するポイントについて

01_採用・入社

こんにちは、みのりです。

人を雇用した時、労働基準法第15条では「労働条件を明示する」ことが求められていますが、実務的には労働条件を明示した雇用契約書を締結するということが多いです。

雇用契約書の締結は、労働条件に双方合意している確証であるとともに、行政手続きをする際の確証にも使われます。

今回は、雇用契約書の締結について書いてみたいと思います。

雇用契約(労働契約)が成立するとき

雇用契約自体は口約束だけでも成立するよ

雇用契約については、民法に「雇用」に関する項目があり

  • 労働者があなたの会社で働きます
  • 会社が労働に対して報酬を払います

という合意ができた時、それが口約束だったとしても契約が成立します。

民法第623条

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる

また、労働契約法では

労働契約法第6条
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する

とあります。

ですが、これではどんな仕事をどれだけの時間働くのか、働いた結果どれだけの賃金がもらえるのかさっぱり分かりません。

そこで、労働基準法等で労働条件の明示を行い、労働者が不当な労働にならないように保護されています。

労働契約の5原則を押さえる

労働契約法には、労働契約を締結する際に共通する5原則があります。

労使対等の原則労働契約は、労働者及び使用者が
対等の立場における合意に基づいて締結し、
又は変更すべきものとする
均衡考慮の原則労働契約は、労働者及び使用者が
就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、
又は変更すべきものとする
仕事と生活の
調和への配慮
の原則
労働契約は、労働者及び使用者が
仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、
又は変更すべきものとする
信義誠実の原則労働者及び使用者は、
労働契約を遵守するとともに、
信義に従い誠実に、権利を行使し、
及び義務を履行しなければならない
権利濫用の禁止の原則労働者及び使用者は、
労働契約に基づく権利の行使にあたっては、
それを濫用することがあってはならない

労働契約法に罰則はありませんが、人を雇用する時の前提となる話なので意識しておきたい内容です。

労働条件通知書との違い

一方的なものか、労使で合意したものかに違いがあるよ

労働基準法で規定されている労働条件通知書は、会社が従業員に一方的に通知するものです。

それに対し雇用契約書は、記載内容が労働条件通知書と同じであっても、契約書の最後に会社と従業員がそれぞれ記名・捺印することで、労使がその労働条件に合意したことを証明する書類になります。

雇用契約書を締結する時のポイント

手続きを進めていく中で注意したいポイントは次のとおり

  • 雇用契約書の内容に間違いがないこと
  • 1人につき2部作成すること
  • 契約内容を説明して合意を得ること
  • 働き始める前に契約締結すること
  • 回収した会社控え分を保管すること

雇用契約書の内容に間違いがないこと

雇用契約書は正式な契約書類になります。

例えば、給与額を別の人と間違えて多く書いてしまい、それに気づかず両者でハンコを押してしまったら、極論を言えば契約書の内容を遵守しなくてはいけなくなります。
(多くの場合は謝って契約書の内容を訂正をしてくれますが、トラブルや不満、会社への不信感の元になります。)

雇用契約書に記載する内容は、労働基準法やパートタイム労働法で規定されている明示事項などを盛り込んでいきます。

以下は厚生労働省の「一般労働者用モデル労働条件通知書(常用、有期雇用型)
あくまでもモデルのひな型なので、そのまま使わず自社用に内容を正して使いましょう。

タイトルを雇用契約書にして、甲乙の契約当事者を追加して契約書の形にするといいよ

なお、甲は会社名(契約締結者は社長や人事部長、配属先の組織長など)、乙は労働者になります。

相対的明示事項については「会社規定による」として、関連する諸規程を配付・説明することもできるよ

1人につき2部作成すること

契約手続きなので、1人につき会社控え分、本人控え分の2部を用意します。
雇用契約書は押印やサインが必要になってくるので紙の用意になります。

契約更新の季節は次期契約の書類を大量に用意しなくてはいけません。
個人的には書類の用意もさることながら、ひたすらにハンコを押すのが大変でした。
(捺印後の契約書を乾かすスペースがない、ハンコを押し続けるので押す方の手が痛くて力が入らなくなるなど)

契約内容を説明して合意を得ること

書類を渡して、ハンコ押しといて!はダメですよ

雇用契約手続きは労働条件の合意を得るものなので、きちんと労働条件を説明します。

特に契約更新で前の条件と変わる部分がある人については、より丁寧に説明します。
(重要な変更については、1~2か月前から労働条件が変わること、その内容を予告しておきます。)

働き始める前に契約締結すること

やはり、契約未締結状態で働いてもらうというのは筋が良くないです。

入社者であれば入社日当日の入社手続きの中で、契約更新であれば前日までには雇用契約を締結して業務に入っていくことが大事です。

回収した会社控え分を保管すること

雇用契約書は労使で労働条件に合意した証明書類なので、雇用保険の加入手続きなどの確証書類としても使っていきます。

また、労基署の臨検がきた時に、雇用契約書の内容を確認されることがありますので、回収モレのないようにしたいところです。

回収した書類をソートするルールを決めておくといいよ

ソートするルールは、例えば、組織ごとにまとめる、社員ID順に並べる、氏名順に並べるなど。
契約書の確認が必要になった時に検索性を高めておきます。

おわりに

雇用契約は事務手続きと考えると煩わしくなってしまいますが、労働条件を労使双方で守るという視点で考えるととても大事な手続きになります。

雇用契約書は誤解が生じた時に外部に対しても客観的に証明してくれる書類になります。
段取りなど改善を重ねて、適切に運用していけるようになるといいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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