定期健康診断は会社にも従業員にも義務がある

07_安全衛生・健康管理

こんにちは、みのりです。
来週は健康診断なので、悪あがきをしてます。

定期健康診断の時期に1回は聞く言葉

自分、健康なんで健診受けなくていいっす!

でも、これは、認識違いなんですね。
健康診断は会社だけでなく、労働者にも法律で義務とされているもの。

ということで、今回は定期健康診断について書いてみたいと思います。

定期健康診断とは

定期健康診断は、労働安全衛生法で定められた健康診断の一つで、1年以内にごとに1回受診しないといけない健康診断です。

その目的は3つ

  • 従業員の健康状態の把握と適正配置の検討
  • 作業に起因する起こる健康障害の早期発見
  • 職場の労働衛生問題の発見(集団の分析)

個々人の健康状態の把握だけでなく、業務や職場に健康を損なう原因があるのか見つけることにも意義があります。

対象者は誰になる?

会社は色んな人が働いています。
正社員、契約社員、パート、アルバイト・・・

定期健康診断の受診対象者は従業員の名称に関わらず、常時使用する労働者 としています。
整理すると、

正社員
(無期雇用者)
対象
契約社員
パート
アルバイト
などの
有期契約社員
以下の両方に該当すれば対象
①雇用期間が1年以上
 ・雇用契約が1年以上の人
 ・雇用契約を更新して1年以上になった人
②労働時間が社員の3/4以上
 ・フルタイムが週40時間働くのであれば
  週30時間以上勤務の人
役員・代表取締役のような役員は対象外
・労働者性のある役員は対象
 (例:工場長など)
派遣社員・該当すれば派遣元で実施

有期契約社員で勤務時間が社員の1/2以上3/4未満の人は「受診が望ましい」とされているよ

定期健康診断の検査項目

定期健康診断で実施する検査項目は労働安全衛生規則(第44条)に定められています。
医師が必要でないと認めた場合は検査項目を省略することができます。

既往歴及び業務歴の調査
自覚症状及び
他覚症状の有無の検査
身長、体重、腹囲、
視力及び聴力の検査
・身長は20歳以上の人は省略できる
・腹囲は40歳未満の人(35歳は実施)、
 BMI20未満の人は省略できる
胸部エックス線検査
及び喀痰検査
・胸部エックス線検査は40歳未満かつ
 規定の業務に就いていない人
 (20、25、30、35歳は実施)
・喀痰検査は胸部エックス線検査で
 病変の発見されない人等は省略できる
血圧の測定
貧血検査
(血色素量及び赤血球数)
・40歳未満の人は省略できる
 (35歳は実施)
肝機能検査
(GOT、GPT、
 γ―GTP)
・40歳未満の人は省略できる
 (35歳は実施)
血中脂質検査
(LDLコレステロール,
 HDLコレステロール、
 血清トリグリセライド)
・40歳未満の人は省略できる
 (35歳は実施)
血糖検査・40歳未満の人は省略できる
 (35歳は実施)
尿検査
(尿中の糖及び
 蛋白の有無の検査)
心電図検査・40歳未満の人は省略できる
 (35歳は実施)

雇入れ時健診は検査項目が省略できないよ

そこに違いがあるね

雇入れ時健康診断を受診したら、その後1年以内に実施される定期健康診断は受診した検査項目をすべて省略できます。

しかし、定期健康診断には「1年以内ごとに1回」ルールがあるので、雇い入れ時健康診断から定期健康診断まで時期が空きすぎるのは注意した方がいいでしょう

定期健康診断を実施するタイミングのヒント

定期健康診断の実施時期は、事業の繁忙期や医療機関・健診機関の予約状況にもよりますが、5~7月か10~11月頃に実施されている印象があります。
「1年以内ごとに1回」ルールがあるので、実施時期を決めたら、毎年、同じ時期にやるように予定を組んでいくといいです。

次に、実施する時間帯。
定期健康診断は労働安全衛生法では「一般の健康診断」に位置づけられており、必ずしも勤務時間内に実施しなくてもいいのですが、「勤務時間内に実施するのが望ましい」とされています。

仮に、時間外に定期健康診断を実施したら、法律上は残業代は発生しないとされています。
しかし、通達で賃金を払うのが望ましいとされているので、極力、払う方が従業員の受診率は高くなると思います。

一般的な健康の確保を図ることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行われるものではないので、その受診のために要した時間については、事業者の負担すべきものではなく労使が協議して定めるべきものであるが労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい(昭和47年9月18日基発602号)

できるだけ勤務時間内に実施した方がスムーズに実施できると思うよ

企業の人数規模が小さい時は、医療機関・健診機関に行ってもらった方がいいと思います。
従業員が増えてきたら、健診機関に会社に来てもらって健診を実施することもできるので、運用を検討していくといいでしょう。
(会社に来てもらった方が、従業員の健診で抜ける時間が1時間くらいで済むので。)

健康診断を実施した時の費用処理

健康診断は原則「福利厚生費」の勘定科目で処理します。

健康診断を経費処理にするためには

  • 健診を受診しなければいけない従業員全員が対象であること
  • 常識の範囲内の費用であること
    (例:高額の宿泊の人間ドックなどは常識の範囲外となる)

という要件を満たしていないといけません。

そうしないと給与や役員報酬として扱われ、所得税の課税対象となってしまうよ

50人以上の企業は労基署に報告が必要

定期健康診断は会社の中で実施して終了というワケにはいきません。
50人以上の企業は労働基準監督署に健診の実施状況を報告する義務があります。

参考
厚生労働省:定期健康診断結果報告書様式

記入時する時は以下がポイントになります。

対象年・健診を実施した年とまとめて報告する期間
健診年月日・まとめて報告する場合は
 一番最後に受診した人の受診日を記入する
在籍労働者数・健診を行った時点の従業員数(常時使用する人)
受診労働者数・受診した人数
※定期健康診断の項目を網羅した人間ドックの結果を
 提出した人がいたら、その人数も加算する
 (定期健康診断受信済みみなすことができる)
有所見者数・検査項目ごとにD判定(要治療、要加療等)、
 E判定(要精査等)の人数を数えて記入する
所見のあった
者の人数
・歯科検診以外で所見のあった人の人数
 「有所見者数」の延べ数ではなく、
 複数の所見があった人は1人としてカウントする
医師の指示人数・所見のあった人のうち、要医療、要精査、
 生活指導、保健指導等を内容 とする指示が
 あった人の人数。再検査は含まない。

提出期限は遅滞なく

健診時期を分けて実施したら1年分まとめて報告できる

おわりに

私は障がい者雇用担当をしていた時に、メタボから脳梗塞・心筋梗塞を起こして障害者手帳を取得する人を何人か見てきました。

そんな時、日ごろからの健康維持の大切さを痛感します。

健康診断はたしかにお金はかかりますが、従業員が健康の状態を維持して働いてくれることはかけたお金以上のものがあります。

コストでなく、投資という視点で健康づくりができるといいなと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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