【2021年6月9日公布】育介法の改正:男性育休への対応について

05_労務・就業管理

こんにちは、みのりです。

2021年6月9日、改正育児・介護休業法が交付されました。
改正法案は男性の育児参画を後押しする内容が多く、企業に義務付けられるものもあります。

今回のブログでは、この法改正を受けて会社は何をしないといけないかについて考えてみました。

今回の改正内容について

今回の改正内容は以下のとおり。

厚生労働省HPより

今回の改正では特に男性の育児休職について注目されているよ

出生時育休の創設と育児休職の分割取得

現状では、男性の育児休職は産後8週以内に休むと「パパ休暇」として育児休職を2回取得できる特例が適用されます。

こうした仕組みはあるものの、初回の育休(パパ休暇)の取得が進んでいない実態があるため、今回、産後8週以内に休みがとれる「出生時育休」(男性版産休と呼ばれているもの)を新たに創出し、加えて産後8週より後の育児休職を2回まで分割して取得できるように見直されました。

出生時育休が「男性版産休」と言われるのは、産後8週は母親が「産後休暇」となっているからだよ

出生時育休ができた背景は、現状では、男性の育児休職は妻の退院など産後8週以内に取得しているケースが多いから。
そういった実態を加味しながら見直されたのですね。

その他、

  • 育休取得の申出を1か月前から2週間前に短縮
  • 労使協定を締結することで休業中に就業可とする

なども見直されています。

休業中に就業可とするなら休暇の方が使いやすいような気がするけどな

という疑問もありますが、一定期間仕事を離れて育児に専念するには休業という形の方が望ましいのでしょうね。

法施行後の取得実績は気になるところです。

勤続1年未満の有期契約者への対応

有期契約の従業員が育児休業を取得したい場合は、

  • 勤続が1年以上
  • 対象となる子が1歳6か月に達するまでに契約満了が明らかでないこと

の両方に該当していないといけませんでした。

それが、今回の改正で「勤続1年以上」が廃止。

その代わりに、労使協定を結ぶことで無期雇用(正社員)と同様に「勤続1年未満」を対象から除外するという内容になりました。

いつまでに何をすればいいか

今回の法改正は、施策によって変更時期が変わります。
時間軸でまとめると以下のとおり。

「出生時育休(男性産休)」と男性育休の分割取得は改正法の「公布日から1年6月を超えない範囲」と言われていますが、審議会の議事録をみると2022年10月を念頭において相談したいとありました。
今後変わる可能性もありますが、この辺りをターゲットにして対応しておくと良さそうです。

(2022年4月まで)制度の周知について

厚生労働省「男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集」によると育児休業等の取得に際する会社からの働きかけ(p.16)では男性の6割以上が「特にない」と回答があり、これが今回の改正の背景となっています。

具体的には指針が出るようですが、就業環境の整備や個別の働きかけが求められていきます。

就業環境の整備では

  • 研修の実施
  • 相談窓口の設置
  • 制度や取得事例の情報提供

など複数の選択肢を選んで対応します


相談窓口に設置についてはセクハラなどの均等取扱い相談窓口の機能を拡充すれば、会社側も比較的スムーズに立ち上げられますし、従業員側もワンストップ窓口で相談できるので混乱は少なくて済むと思います。

制度の周知については、内容だけでなく「使い方」も伝えることをオススメします。
制度の使い方を伝えることで両立して働くイメージを具体的にイメージできるようになります。

また、経過措置として子育て中の従業員にも制度の周知が必要になりそうですね。

(2022年4月まで)育休取得の意向確認について

申し出をした人への働きかけは

  • 面談での制度説明
  • 書面等による制度の情報提供

などの選択肢から対応し、本人の意向を確認していきます

といったことが求められるようです。
その時に取得を控えさせるような働きかけや、不利益取扱いの禁止規定も盛り込まれるとのこと。

実務的には、面談の実施を選んだ場合、人事担当者が面談するのか?上司等が面談するのか?三者面談にするのか?など決めていかないといけないでしょう。
特に職場で面談を実施してもらうなら実施要領や面談記録票なども用意が必要になりそうです。

個人的には、対象となる従業員から確実に申し出てもらうのが一番難しいと思っています。
健康保険や社内制度の扶養認定手続きなどで出生を把握できる人もいますが、配偶者側の健康保険に入れる可能性もあり100%把握できるわけではないので。
ですので、いかに本人に申し出てもらうかというのはポイントになってくると思います。

(2022年4月まで)有期雇用労働者の取得要件変更について

審議会資料を確認したところ、「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件緩和に関する記載はあるのものの、労使協定に関する具体的な記述はありませんでした。
現行の「育児・介護休業等に関する労使協定の例」が改定されていくか気をつけておくといいかもしれません。

また、有期契約者への説明や雇用契約の更新の考え方など整理しておく必要はありそうです。

参考
厚生労働省:育児・介護休業等に関する労使協定の例

(2022年10月想定)出生時育休の創設と分割取得について

この対応は今後の指針が出てくるようですが、現時点で考えられるのは

  • 労使協定の締結(申出を1か月前までにしたい場合)
  • 労使協定の締結(出生時育休中に就労してもらう場合)
  • 社内規程の改定
  • 出生時育休の申出に関する様式等の作成
  • 人事システム等の改修
  • 経過措置の対応

などがあると思います。

申出を1か月前までにしたい場合の労使協定で定める内容について

今回の法改正では申出は2週間前までと定められましたが、義務化される内容以上の就業関係の整備を行う場合は労使協定を締結することで1か月前までの申出にすることができます。

労使協定に盛り込む内容は以下のとおりです

  • 新制度や育児休業の取得率や取得期間に関する目標及び事業主の方針
  • 休業開始予定日の1か月前までに申出が円滑に行われるようにするための職場環境の整備、業務の調整、労働者の配置その他の措置
    (厚生労働省法律案2-②の環境整備の措置義務を上回る措置として、これらのうち複数の措置を実施している場合等)
  • 労働者へ休業取得の個別の働きかけを行うだけでなく、具体的な取得意向の個別の把握まで行うこと

出生時育休中に就労してもらう場合の労使協定で定める内容について

労働者の意に反したものとならない仕組みとするため、労働者と事業主で就労可能日数の上限(休業期間の労働日の半分)を設けた範囲内でのみ可能とするものです。

様式のサンプルは現時点では出てないので、今後、出てきたら更新したいと思います。

労使協定で上限を設けていても、労働者が同意した範囲での就労となるので要注意です

なお、同意の撤回は休業開始前までは任意のタイミングで可能となります。
休業開始後も配偶者の疾病等の特別な事情がある場合には、同意の撤回が可能となります。

おわりに

育児環境は、親などの支援者の有無や子の数・年齢など、家庭によって違います。
夫婦間で一緒に子育てしたい、働いて稼いできてほしいなど、考え方も様々です。

ですので、従業員が必要な時に必要なだけ育児休職がとれるよう環境整備は必要だと思います。

ただ、改正法の2週間前の申出では急すぎて不在中の代替要員も確保できず、職場は混乱するでしょう。
最終的な申出は2週間前としても、育休を取りたいと考えている従業員に対しては安定期に入った頃から申し出てもらうように促していった方がいいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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