労働保険について(従業員が1人でもいたら加入)

06_賃金・賞与

こんにちは、みのりです。
労働保険の年度更新の季節になりましたね。

労働保険は任意の生命保険、損害保険と違って、1人でも雇用したら原則として加入しないといけない保険です。
しかし、中身や手続きが分かりにくいのが難点。

今回は、労働保険の基本的な知識についてまとめてみました。
※このブログでは一般的な民間企業を前提としています。

労働保険とは?

労働保険って社会保険のこと?
違いがいまいち分かんないや

私も最初の頃は、社会保険と労働保険の言葉の違いに戸惑っていました。

というのも「社会保険」には労働保険も含めた広義の意味と、労働保険と切り分けた狭義の意味があるからです。

たまに、求人票に「社保完備」と書いてあるのは、広義の「社会保険」になります。
「社会保険」がどういう意味で使われているかは文脈を見て判断していくことになります。

一元適用事業所と二元適用事業所がある

労働保険は、「労災保険」と「雇用保険」を合わせたものをいいます。
一部適用除外となるケースはありますが、労働者を1人でも雇用したら労災保険と雇用保険はセットで加入することになります。

労災保険と雇用保険をセットで適用する事業所のことを

一元適用事業所

というよ(※)

一方で、以下に該当する場合は労災保険と雇用保険を別個で扱う「二元適用事業所」といいます

  • 都道府県及び市町村の行う事業
  • 特別区や地方公共団体の組合などの行う事業
  • 港湾労働法に規定する港湾運送の行為を行う事業
  • 農林、畜産、養蚕又は水産の事業
    (船員が雇用される事業を除く)
  • 建設の事業

なぜ別個に扱うのかというと、労災保険と雇用保険で適用される労働者の範囲が微妙に違うということと、建設の事業においては工事現場の内容によって労災リスクが変わったり、元請業者が下請け業者も含めて労災の加入手続きをとるなど手続きを一括でできないことがあるからです。

※国が行う事業は雇用保険だけ加入するので「一元適用事業所」になります。

保険関係が成立したときの届出先について

一般企業が事業を開始すると、その日から保険関係が成立します。
たとえ、書類を届け出ていなくても事業開始日から成立しているので要注意です。

届出の提出期限は保険関係が成立した日から10日以内だよ

届出先は、一元適用事業所なのか、二元適用事業所なのか、労働保険事務組合に委託をしているのかによって変わってくるのもややこしいところ。

自社がどこに該当するのか押さえておくと混乱しなくて良くなります。

参考
厚生労働省:労働保険の成立手続きはおすみですか(パンフレット)

労働保険料(一般保険料)の支払いについて

労働保険料は仮計算した金額を先払いする仕組み。
保険関係が成立した日から年度末までに労働者に支払う賃金の総額(見込み額)に保険料を乗じた額を「概算保険料」として支払います。
翌年の6月になったら、前年度実績から「確定保険料」を計算して精算します。

精算した結果、

前年の概算保険料 < 確定保険料 なら
差額の追加納付

前年の概算保険料 > 確定保険料なら
還付や次年度の概算保険料や一般拠出金への充当

をしていくよ

2年度目以降の労働保険料は、今年度分の「概算保険料」の支払いと前年度分の「確定保険料」の精算をセットで行っていき、この手続きを「年度更新」と呼んでいます。

一般保険料率は雇用保険と労災保険でそれぞれ設定されているので、自社が何の事業で届け出ているか確認して該当する保険料率を使用します。

厚生労働省:雇用保険料率 (業種により9/1000~12/1000。労働者と折半)
厚生労働省:労災保険率 (業種により2.5/1000~88/1000に分類)

なお、保険料を計算する時の「賃金」は以下の例のように対象に含むものと含まないものがあり、ここもややこしいポイントになります。

賃金に
含まれるもの
・基本給
・残業手当、深夜手当、休日手当
・通勤手当(定期券代)
・家族手当、教育手当、日直手当
・役職手当
・地域手当、住宅手当、単身赴任手当
・技能手当、奨励手当、調整手当 など
賃金に
含まれないもの
・退職手当
・結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金
・出張旅費・宿泊費(実費弁償的なもの)
・会社が全額負担する生命保険の掛け金 など

手続き書類には月ごとに人数や支払額を記入していくので、従業員の人数が増えていったら毎月の給与計算の時に総括表のようなものを作っておくと事務の手間が簡素化できてよいでしょう。

参考:
厚生労働省:労働保険の年度更新

年度更新の時に払う一般拠出金とは?

ん?
年度更新の時に突然「一般拠出金」って言葉が出てくるんだけど?

この「一般拠出金」は、「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づいて労災保険に加入している企業から徴収しているものです。

石綿(アスベスト)で健康被害を生じた方への救済を目的としていて、業種に問わず保険料は一律0.02/1000(2021年時点)、年度更新の時に一緒に徴収する仕組みとしています。

確定保険料が前年に納付した概算保険料より多かった場合、一般拠出金に充当することも可能です。

労働保険料はどの費目を使う?

労働保険料を支払う時に何の勘定科目で費用処理するのか?も気になるところです。

労働保険料は基本的に法定福利費に仕分けして、支払ったときに計上するよ

労災保険料は100%会社負担なので費目さえ分かれば処理しやすいですが、雇用保険は労働者と保険料を折半しています。

この折半した従業員の負担分をどうするかと言うと…
給与天引きした分は「預り金」か「法定福利費」に仕分けてプールし、年度更新の時にまとめて納付します。

おわりに

労働保険は、事業や業種などによって手続きが変わってくるのでややこしい事が沢山あります。
ややこしいということはミスも起こしやすくなります。

何月に、何人に、幾ら支払った
という情報を日ごろから整理しておくことをオススメします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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