こんにちは、みのりです。
突然ですが、

いきなり労働基準監督署から人が来た!
という状況を想像できますか?
労働基準監督署(以下、労基署)の臨検調査は予告なしで突然やってきます。
この「突然」はお手紙で来ることもあれば、人(労働基準監督官)がやってくることもあります。
正しくやっていても、内心、焦ります。
今回のブログでは、臨検についてまとめてみました。
臨検(臨検監督)とは?
労基署の監督官が会社に立ち入り調査に来ることを臨検監督、通称「臨検」と呼んでいます。
臨検は、事業所の人数規模に関わらずやってきます。
臨検の種類は以下の4つ
定期監督 | 労基署が年度計画に基づいて、事業場を抽出して調査を行うこと |
申告監督 | 労働者が労基署に相談に行ったことで企業に立ち入り調査を行うこと |
災害時監督 | 労災が起きた時に原因を調査するために立ち入り調査を行うこと |
再監督 | 上記監督時に出した是正勧告について改善されているかその後の調査を行うこと |

立ち入り調査は拒否できないよ
これらの調査は労働基準法や労働安全衛生法に基づいた調査であるため、拒否はできません。
立ち入り調査に来る労働基準監督官には司法警察の権限があるため、捜査、逮捕、送検もできてしまいます。
ですので、臨検の連絡が来たら、日程調整の余地がある時もありますが、受けるしかないです。
地方労働行政運営方針は要確認
地方労働行政運営方針とは、年度はじめ(4月)に厚生労働省(以下、厚労省)が都道府県労働局長宛に出す行政通達で定期監督の前提となる方針です。
この方針を確認しておくと、臨検時に労働基準監督官がどのような点を重視しているかイメージしやすくなると思います。
参考:令和3年度の地方労働行政運営方針(厚生労働省)
臨検(定期監督)の流れ
調査票を受け取り、書類を準備する
臨検はお手紙でも来訪でも「調査票」を受け取るところから始まります。
調査票は全国統一ではなく各労基署で様式が作成されているようですが、だいたい以下の内容が問われます。
※表の一番右の欄は確証
事業場 の情報 | ・事業場名 ・事業場所在地 (本社所在地を記載する場合もある) ・代表者氏名 ・事業内容 ・臨検出席者の役職・氏名 | 組織図 |
労働者数 | ・正社員およびパート、アルバイトの男女別人数 ・内数として年少者(18歳未満)、外国人、 障がい者、有期契約者の男女合計人数 ※派遣労働者数を尋ねられることもある | 人員表 |
労働時間 休日 | ・1日の所定労働時間 (監督署によって、最も適用される時間が多い者、 最も長い者、最も短い者等が問われる) ・所定休日 | 就業規則、 変形労働・ 裁量労働・ フレックスに 関する協定書、 年間休日 カレンダー、 シフト表など |
時間外 休日労働 | ・時間外、休日労働の有無 ・労使協定(三六協定)の最新の届出日 ・時間外労働の把握方法 ・時間外が最も多かった人 ・直近6か月の時間外80h超の人数(各月) | 三六協定、 タイムカード、 出勤簿、 残業申請書、 年次有給休暇管理簿、 長時間残業者への 産業医面談の記録など |
賃金 | ・締め日、支払日 ・支払い方法 ・最も賃金額が低い人 | 賃金台帳、 就業規則・賃金規程、 賃金控除の協定書 |
労働組合 | ・労働組合の有無 | 労働協約 |
その他 | ・雇入れ時の労働条件明示 ・定期健康診断の実施状況 | 労働条件通知書、 雇用契約書、 定期健康診断個人票、 産業医との面談記録 |
上記に加え、安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会の議事録の確認もあります。
危険物・有害物質を扱う事業であれば、機械や設備の点検・検査の記録や特定化学物質の作業記録、リスクアセスメントの記録なども確認されます。

臨検(定期監督)は事故などが起きないよう未然防止が目的だよ
労働基準法や労働安全衛生法の規定が正しく運用されているか確認をするため、準備する書類が沢山あります。
勤怠の記録も3~6か月分用意しなくてはいけなかったり、三六協定などの書類も直近2年分用意するような指定が入る場合もあります。

書類によっては当日、ディスプレイにデータを映して確認もできるよ
立ち合い調査を受ける
臨検を受ける時は会議室を確保して、調査票や指定された確証書類を用意しておきます。
調査を受けている途中で追加書類、コピーの提出を求められることがあるので、執務フロアに近い場所がオススメです。

入館登録が必要な場合は事前に来社する監督官の名前確認を忘れずに!
本社で人事業務を総括している場合は、現場と人事が連携して臨検に対応します。
現地に立ち会えない時はリモート会議の設定が必要になります。
操作に不慣れな場合は事前に練習してスムーズにつなげるようにしておきます。
定期監督の時は未然防止が目的なので、日常業務で疑問に思っていることや管理のコツなどを教えてもらうチャンスでもあります。
(監督官が不慣れな人という場合もありますが)多くの場合、監督官は色んな会社を訪問しているので、ヒントをくれると思います。
是正勧告を受けた内容の改善を図る
是正勧告が出たら、対応します。
例えば就業規則の不備など是正が簡単なものもありますが、恒常的な長時間残業について是正を受けたら改善するのは難しい…
再監督を受けて中長期的な改善をしていかないといけなくなります。
おわりに
労基署の臨検は、拒否できない立ち入り調査です。
突然、臨検の連絡がきても慌てないように、会社のどこに何があるか確認しておくことをお勧めします。

労働時間や安全衛生は指摘を受けやすいテーマだよ
労働時間は仕事の進め方を根本的に改善しないと解決しないこともあります。
働き方と生産効率を両立できる方法を考えるチャンスかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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